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参加募集:連続夜間セミナー開催のお知らせ
- To: <dbjapan [at] dbsj.org>
- Subject: 参加募集:連続夜間セミナー開催のお知らせ
- From: "Yoshifumi MASUNAGA" <masunaga [at] is.ocha.ac.jp>
- Date: Thu, 21 Sep 2006 11:27:08 +0900
日本データベース学会(DBSJ)の皆様
お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)が主催する夜間セミナーをご案内いたします.
詳細は以下の通り,あるいは添付のPDFファイルの通りです.
講演者はお茶大IGS客員教授の“オーストラリア国立大学(ANU)のジュディ・ワイスマン氏”です.社会と技術主導の係わりを5回に分けて講演します.DBSJの会員にとっても大変興味ある内容と考え,ご案内申し上げる次第です.
皆様ふるってご参加ください.申込みは本メール末尾の申込書あるいは添付のPDFファイルの最後のページに必要事項を記入してE-mail:
igs [at] cc.ocha.ac.jp (件名に「夜間セミナー参加」と明記してください)あるいはFAX(03−5978−5845 お茶大IGS)してください.参加費は1回500円です(資料代を含む).
DBSJ男女共同参画委員会
増永良文
お茶の水女子大学
理学部情報科学科
お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(IGS)は、2006年9月から2006年11月まで、オーストラリア国立大学(ANU)のジュディ・ワイスマン氏を客員教授としてお迎えすることになりました。 氏の専門は社会学ですが、テクノロジーと社会に関わるジェンダー分析という研究領域においては、先駆的な存在です。The Social Shaping of Technology(共編著、1985)を皮切りに、著書Feminism Confronts
Technology(1991)、およびTechnoFeminism(2004)では、テクノロジーとフェミニズムの研究を本格的に展開しました。また、1998年に刊行したManaging Like a Man: Women and Men
and in Corporate Managementや最新の著書、The Politics of
Working Life (共著、2005)では、テクノロジーの変化と働く場所の変化に伴う、男女の関係やアイデンティティについて考察しています。 今回、ワイスマン教授は「ジェンダーとテクノサイエンス」というテーマのもとに、5回連続の夜間セミナーを行います。氏の研究は、社会科学、人文科学、科学技術を専門とする研究者にとって興味深く、示唆に富むものであると同時に、雇用現場の経営及び労働に従事する方たちにも有益なものとなりえると思われます。大学内外に開かれたセミナーですので、皆様ふるってご参加ください。 第21回夜間セミナー実行委員会 舘かおる、小川眞里子、柘植あづみ、椎尾一郎、高橋さきの、水島希、三村恭子、横山美和 事務局 林奈津子、岸野幸子、飯田伸彦
セミナーを始めるにあたって
このセミナーでは、まず技術決定論がどのように批判され、また科学技術論という分野がどのように発展してきたのかを見ていくことにする。さらにセミナーでは、技術に関する理論面での議論と、技術の実質的領域の両方について吟味し、それを踏まえた上で、情報通信技術に関わるジェンダー関係について、悲観的な見方と楽観的な見方の双方を詳しく検討する。たとえば探究されるべき一つの課題は、どのような経緯で技術ならびに技術的専門知が男らしさと密接に結びつけられるようになったのかということである。技術的傾向の強い職種で女性が周辺化されてきた結果、技術のフェミニズム分析ではこれまで悲観論が多くみられた。しかし、情報通信技術は楽観論を優位に立たせてきている。サイバーフェミニズムやサイボーグ・フェミニズムなどの多様なフェミニズム理論の評価がなされるであろうが、とりわけ、デジタル技術が本質的に解放的だとする主張は、検討すべきものである。私は、そうした主張の決定的な弱点として、技術決定論に陥る可能性を指摘しようと思う。そしてこれらに代わるものとしてテクノフェミニズムを提示して、私は今回の連続セミナーを締めくくるつもりである。テクノフェミニズムは、フェミニズムのポリティクスを中核に据え、ジェンダーと技術が相互にかたちづくられることを強調するものである。 今回のセミナーでは、総体として、フェミニズムの立場から情報通信技術に関する社会研究を行う際の多様なアプローチの概念的基盤を提供したい。すなわち、技術および技術とわれわれとの関係を形成するさまざまに入り組んだ力について、詳細な経験的探究を行うための適切な理論的枠組みや学術ツールを提供しよう考えている。ジェンダー研究も科学技術論(STS)研究も共に歴史学、社会学、カルチュラル・スタディーズ、コミュニケーション研究、政治理論、法学、経済学、科学研究に依拠しているので、ここでは当然ながら学際的アプローチを必要とすることになろう。この意味で、本コースでは受講者に、ジェンダーと技術に関する分析が分野横断的なスキルをどのように必要とするかについて、一つのパラダイムを提供する。 第1回(10月3日) Introduction: Gender and the
Politics of Technoscience フェミニズムは、技術が女性の生活や人生に及ぼす影響について、これまで相反する見方を持ち続けてきた。すなわち、どんな未来が待っているかについて、ユートピア的な見方とディストピア的な見方の間で揺れてきたといえる。同じ技術革新を、女性に抑圧的であるという理由で全面的に拒絶するかと思えば、本質的に解放的であるとして無批判に受け入れたりしてきたのである。第1回目の講義では、フェミニズムと技術が対峙するこの領域における、いくつかの視点を概観してみたい。技術社会学とジェンダー理論の両方に依拠しつつ、技術をめぐる社会科学の論争に切り込むためのフェミニズムの視点を定める議論を行う。技術製品は、それ自体、ジェンダーに関わる関係性、意味、アイデンティティによって形成される。冷蔵庫から避妊薬にいたるまで、また家や車や都市からワープロや兵器にいたるまで、われわれが当然のこととして認めているそれらの技術のデザイン、開発、利用には、実は、性的差異の階層構造が深いところで影響を及ぼしているのである。技術の変容過程がジェンダーの権力関係の重要側面である以上、社会科学はこれに関わり続ける必要があるというのが、私の立場である。 ◆基本文献◆ Judy Wajcman (2004). ‘Male
Designs on Technology’ Chapter 1 in Judy Wajcman, TechnoFeminism, 第2回(10月10日) The Social Shaping
of Technology 第2回目の講義では、技術決定論の主要な問題について詳細に検討する。そうすることで、今後このシリーズ講義で扱う他の問題に関連をもたせることができよう。たとえばIT(情報テクノロジー)「革命」をめぐる多くの議論で技術決定論が果たす役割というようにである。さて、技術決定論の中核をなす議論は、発動機や「原動機(第一動者)」のように、技術が変化を引き起こすというものである。そして多くの場合、この変化をまさしく「進歩」と称するのである。たしかに技術決定論には、一片の真理がある。技術は、重要である。技術は、われわれの生活の物質的条件や生物的物理的環境に影響するだけでなく、社会の中でのわれわれの生き方にも大きく影響する。しかし、この理論は、技術の最も重要な変化が、企業や政府が下す政治的経済的決断や社会的動向によってもたらされるものであることを見落としている。つまり、人が歴史を「作る」のであって、技術が決定するわけではない。また、
物事は意図された通りに進行するわけでもなく、計画は頓挫するし、変化や衝突も予測不能である。どんな技術についても、そのデザインと開発に、社会的政治的過程が関与しているのである。 ◆基本文献◆ L.. Winner (1985 and 1999).
‘Do Artifacts have Politics?’ in Donald MacKenzie and Judy Wajcman eds. The Social Shaping of Technology, Second
Edition, Milton Keynes: Open University Press. (邦訳 『鯨と原子炉―技術の限界を求めて』ラングトン・ウィナー著、吉岡斉・若松征男訳、紀伊国屋書店、2000) Introductory essays in Donald
MacKenzie and Judy Wajcman (eds) (1985 and 1999) The Social Shaping of
Technology: Second Edition, 第3回(10月17日) Technology, Work
and Masculinity
◆基本文献◆ Judy Wajcman (1991). ‘The
Technology of Production: Making a Job of Gender’, Chapter 2, Feminism Confronts Technology.
Cambridge: Polity Press. C. Cockburn (1983). ‘The
Material of Male Power’ in Donald MacKenzie and Judy Wajcman eds. Fuller version
Brothers: Male Dominance and
Technological Change, Pluto Press. 第4回(10月24日) Computer Culture:
Living in Cyberspace 最近の情報通信技術の発展を受けて、ポストモダニズムの立場にたつ一部のフェミニストは、デジタル革命は、家父長制をはじめとする伝統的な制度的慣行や権力基盤の凋落を予兆するものだと議論するようになっている。こうした議論では、サイバースペースの仮想性は、ジェンダー差の基盤とされてきた自然な生物学的実体の終焉を意味するものとみなされ、インターネットは女性的なあり方を表し、女性と機械との関係性を変化させる多様な可能性を生み出すものとされる。ここでは技術自体が、女性を解放する存在とみなされている。サイバーフェミニズムは、こうした理論的立場の一例であり、行為する存在としての自己やその媒介性が強調され、ユートピア的な見方を生成する。携帯電話もまた、家庭と仕事との境界や、公的領域と私的領域との境界を攪乱しうる存在として注目を集めている。第4回目の講義では、こうした新たなメディア技術が、通信のポリティクスと時間と空間のポリティクスに対してもつ意味を検討する。 ◆基本文献◆ Sherry Turkle, The Second
Self, (1984 and 2005) Judy Wajcman (2004) ‘Virtual
Gender’ Chapter 3 in Judy Wajcman, TechnoFeminism, Cambridge: Polity Press.
第5回(11月14日) TechnoFeminism:
Expertise and Agency in a Wireless World 最終回では、テクノサイエンスの社会研究が、技術と社会の関係を近年どのようなものとして考えているかについて詳しく見ていこう。現在では技術は、社会をまとめあげている組織構造の一部と理解されている。それというのも技術は、単に専門的であったり社会的であったりするような存在ではないからである。技術はむしろ常に、社会・物質的な産物、すなわち、技術製品、人々、組織、文化的な意味や知識などを結びつける継ぎ目のないウェブないしネットワークだというべきなのだろう。つまり技術的変化とは、技術と社会が相互に構成されるような偶発的で異種混合的な過程であるといえる。こうした見方に沿って言えば、新たに立ち現れたテクノフェミニズムは、ジェンダーと技術が相互に形成しあう関係にあると捉えており、そうした関係では、技術はジェンダー関係の源泉であるとともに結果でもある。つまり、ジェンダー関係は、技術において具体化され、男らしさや女らしさは、稼働する機械に組み込まれ埋め込まれることを通して、その意味や特質を獲得すると考えることができる。そのようなアプローチは、技術を社会=技術的ネットワークととらえる構築主義的概念と共通するものであり、テクノサイエンスの実践をめぐる物質的、論証的、社会的要素を統合する必要を認めている。社会が技術と共同して作られるものであるなら、ジェンダーの権力関係がデザインや技術革新に及ぼす影響と、技術の変化が男女両性に及ぼす影響の二つを探ることは不可欠である。 ◆基本文献◆ Judy Wajcman (2004).
‘Metaphor and Materiality’ Chapter 5 in Judy Wajcman, TechnoFeminism, 「女性と技術」の文献についてのおすすめウェブサイトttp://www.umbc.edu/cwit/cwitbooks.html
■使用言語:講義は英語。日英逐次通訳つき。 ■参加費:毎回500円(配布資料代含む) ■交通機関:丸の内線茗荷谷駅、もしくは有楽町線護国寺駅から徒歩10分 IGSホームページ左側のメニューにて、大学までの案内図および大学内の地図が掲載されております。ご参照ください。大学構内入校の際、正門と南門にて身分証明書の提示をお願いすることがあります。ご協力の程よろしくお願い致します。 ■申し込み方法:お申し込みは、別紙のファックス送信用フォーマットをご利用ください。 E-mailにてお申込みになる場合は、お手数ですが、別紙の項目を参考にして氏名・連絡先等をお知らせください。申し込みに関してこちらから確認のご連絡は行っておりません。 ■申し込み先: 国立大学法人お茶の水女子大学ジェンダー研究センター 夜間セミナー事務局
宛 住所: 〒112-8610 文京区大塚2-1-1 Fax:
03-5978-5845 URL: http://www.igs.ocha.ac.jp/ E-mail:
igs [at] cc.ocha.ac.jp (件名に「夜間セミナー参加」と明記してください) Fax送付先: 03-5978-5845(お茶の水女子大学ジェンダー研究センター) 第21回夜間セミナー ジェンダーとテクノサイエンス ジュディ・ワイスマン ● 第21回夜間セミナー参加希望日 (○で囲んでください )
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