日本データベース学会

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[dbjapan] 「CRESTシンポジウム:自律・連合・仮想化時代のインターネット基盤技術」開催のご案内


日本データベース学会の皆様

下記のようなシンポジウムを開催致しますので,ご興味のある方は
ご参加を検討頂けましたら幸甚に存じます.

筑波大学 北川

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CRESTシンポジウム:自律・連合・仮想化時代のインターネット基盤技術
                     開催案内

共催 独立行政法人 科学技術振興機構
   国立大学法人 筑波大学大学院システム情報工学研究科

日時:2008年9月8日(月)10:30〜 
17:20(10:00開場)
場所:富士ソフト アキバプラザ セミナールーム 
1(JR秋葉原駅近く)
   会場 http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/plaza/ 
seminar.html
   アクセス http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/info/ 
access.html
定員:80名(先着登録制,下記Webページより登録願い 
ます)
参加費:無料
Webページ:http://www.osss.cs.tsukuba.ac.jp/sustainable/

●開催趣旨

インターネットは自律性を有するネットワークの連合体として生ま 
れ,今日まで成長してきました.自律性を有するものが連合すると 
いう,画期的と言っても良いこのパラダイムは,地球規模のネット 
ワークワークを破綻なく今日の規模成長させる源となると共 
に,SNSのように人間同士の自律連合を喚起する技術や,Web 2.0 
やクラウドコンピューティングといったネットワークサービスの新 
しい方向性を産み出しています.近年の仮想化技術の目覚ましい発 
展と相乗し,今後のITシステムは,ハードウェアとソフトウェアとい 
う「モノ」を作って組み合わせていく時代から,ネットワークサー 
ビスという仮想的な機能と,それらの組み合わせによってシステム 
構築を行っていく時代にシフトしつつあると考えられます.

当研究グループでは,今後のインターネット上のシステム構築の肝 
要は,仮想化技術を活用しながら,自律性と連合性を自在に制御で 
きるサービス基盤技術の開発にあると考え,2003年度より 
5年間に渡って,OS,ネットワーク,データベース,プログラ 
ミング言語といった基盤ソフトウェア技術の各層において,自律性 
と連合性を支援する基盤技術の開発を行って参りました.研究推進 
に当たっては,ここで開発した技術が単に学術研究の一つとして留 
まるのではなく,今後のITシステムの基盤技術として実社会に寄与す 
ることを目指して研究開発を進めて参りました.本シンポジウムで 
は,私共が開発してきた基盤技術の成果を紹介すると共に,今後の 
発展の可能性について議論したいと思います.

●プログラム

10:00 開場
10:30-10:40 開会挨拶
10:40-11:20 自律・連合・仮想化の時代へ向けて:プロジェクト概要
       加藤和彦(筑波大学大学院システム情報工学研究 
科 教授)
11:20-12:00 広域サステーナブル・ネットワーキング
       中尾彰宏(東京大学情報学環 准教授)
12:00-13:00 昼食
13:00-13:40 サステーナブルなストリーム情報統合基盤
       北川博之(筑波大学大学院システム情報工学研究 
科 教授)
13:40-14:20 クラウドコンピューティング基盤:Sustainable Framework  
2.0
       杉木章義(科学技術振興機構 研究員)
14:20-15:00 仮想インターネット実験システムとサステーナブルな 
ストリーム中継システム
       登 大遊(ソフトイーサ(株)会長/筑波大学 
大学院システム情報工学研究科)
15:00-15:20 休憩
15:20-16:00 インターネットブート技術 "OS Circular"
       須崎有康(産業技術総合研究所 主任研究員)
16:00-16:40 広域分散アプリケーションのためのシミュレーション 
システム
       大山恵弘(電気通信大学電気通信学部情報工学 
科 准教授)
16:40-17:20 文字列解析によるWebプログラムの検証
       南出靖彦(筑波大学大学院システム情報工学研究 
科  准教授)

●発表概要

題目:自律・連合・仮想化の時代へ向けて:プロジェクト概要
講演者:加藤和彦(筑波大学大学院システム情報工学研究科  
教授)
概要:インターネット環境上で,自律性と連合性を自在に制御するための 
IT基盤技術開発の概要を解りやすく説明する.仮想化技術を活用し 
て,自律性と連合性を制御するための方法論,オペレーティングシ 
ステム,ネットワーク,データベース,プログラミング言語といっ 
た基盤ソフトウェア技術の各層において,得られた研究成果を概説 
する.また,ネットワークそのものの障害も含めて,インターネッ 
ト上で起こり得るさまざまな障害を自律的に克服しながら持続的 
サービスの提供を目指すサステーナブルサービスシステムの概要を 
説明する.

題目:広域サステーナブル・ネットワーキング
講演者:中尾彰宏(東京大学情報学環 准教授)
概要:自律性を有しながら広域で連合する分散ネットワークシステ 
ムを支える基盤技術の研究を概説する.インターネットは元来自律 
性を有しているが,分散ネットワークシステムによっては十分な耐 
障害性を有しているとは言えない場合がある.本講演では,主に広 
域ネットワークにおける分散ネットワークシステムの耐障害性を向 
上するための基盤技術の研究開発について報告を行う.

題目:サステーナブルなストリーム情報統合基盤
講演者:北川博之(筑波大学大学院システム情報工学研究科  
教授)
概要:自律性を有するシステム群の連合処理を実現するためには, 
システム間のデータの相互運用が必須である.我々は,オープン環 
境におけるデータベース,Webサイト,さらに各種センサース 
トリームなどの多様な情報源の連合を対象に,シームレスなデータ 
相互運用を実現するための情報統合基盤技術の研究を行ってきた. 
本講演では,これまで研究開発を行ったサステーナブルなストリー 
ム情報統合基盤システムの概要,各種応用,分散ストリーム処理等 
について紹介する.概要:自律性を有するシステム群の連合処理を 
実現するためには,システム間のデータの相互運用が必須である. 
我々は,オープン環境におけるデータベース,Webサイト,さ 
らに各種センサーストリームなどの多様な情報源の連合を対象に, 
シームレスなデータ相互運用を実現するための情報統合基盤技術の 
研究を行ってきた.本講演では,これまで研究開発を行ったサス 
テーナブルなストリーム情報統合基盤システムの概要,各種応用, 
分散ストリーム処理等について紹介する.

題目:クラウドコンピューティング基盤:Sustainable Framework 2.0
講演者:杉木章義(科学技術振興機構 研究員)
概要:データセンターの多拠点化やマッシュアップなどのサービス 
環境の変化に対応するため,広域分散環境を想定して作成された次 
世代型のサービス基盤が必要である.本発表では,異なる管理ドメ 
インのホストを有機的に連合し,仮想化技術に基づいてサービス環 
境を構築するSustainable Framework 2.0について述べる.そ 
の応用例としてPeer-to-Peer型のサービス協調複製技術とク 
ラウドコンピューティングに向けたアプローチについて示す.

題目:仮想インターネット実験システムとサステーナブルなスト 
リーム中継システム
講演者:登 大遊(ソフトイーサ(株)会長/筑波大学大学院 
システム情報工学研究科)
概要:仮想インターネットシステムは、1台?数台のコ 
ンピュータ上に多数の仮想ルータや仮想スイッチを配置し、複雑な 
IPネットワークを構築して実験可能である.サステーナブルなスト 
リーム中継システムは、インターネットを経由して、ファイアウォールや 
NATの内側にある任意のコンピュータ同士でソケット通信をすること 
ができるシステムで、データセンター上に設置した、冗長化された 
ゲートウェイシステムをすべての通信が経由する.これらの技術に 
ついて解説とデモンストレーションを行う.

題目:インターネットブート技術 "OS Circular"
講演者:須崎有康(産業技術総合研究所 主任研究員)
概要:OS Circularはインターネット上で公開されているディ 
スクイメージからOSを起動するフレームワーク技術であ 
る. 通常のシンクライアントと異なり、ディスクイメージの 
キャッシュを行なうことでネットワークが切れてもOSを利用し続ける 
ことを可能とする.この起動技術とサステーナブルネットワークと 
組み合わせることで高効率/高信頼性を確保できるようになる.

題目:広域分散アプリケーションのためのシミュレーションシステム
講演者:大山恵弘(電気通信大学電気通信学部情報工学科 准 
教授)
概要:大規模な広域分散アプリケーションを、1台から数十台 
の計算機上で手軽にシミュレーション実行するためのシステムを説 
明する.本システムにより、P2Pアプリケーション等の分散ア 
プリケーションを、修正を加えることなく、仮想的なインターネッ 
ト環境上で動かすことができる.実験では、20台の計算機の上に 
6000台の仮想的な計算機を構築し、実際の分散アプリケーションの 
シミュレーションを問題なく行えたことを確認した.

題目:文字列解析によるWebプログラムの検証
講演者:南出靖彦(筑波大学大学院システム情報工学研究科  准教 
授)
概要:プログラム解析を用いてWebプログラムを検証する技術 
として,プログラムが出力しうる文字列を文脈自由文法を用いて近 
似するプログラム解析(文字列解析)を開発した.このプログラム 
解析をサーバサイドプログラムに適用することで,サーバサイドプ 
ログラムの妥当性や安全性を検証できる.本発表では,スクリプト言語 
PHPに対する文字列解析の実装について解説し,妥当性や安全性の検 
証に関する実験結果について説明する.

以上