dbjapanメーリングリストアーカイブ(2018年)
[dbjapan] DBSJ Newsletter Vol. 11, No. 4
- To: dbjapan [at] dbsj.org
- Subject: [dbjapan] DBSJ Newsletter Vol. 11, No. 4
- From: Daichi AMAGATA <amagata.daichi [at] ist.osaka-u.ac.jp>
- Date: Wed, 1 Aug 2018 15:02:27 +0900
┃ 日本データベース学会 Newsletter
┃ 2018年8月号 ( Vol. 11, No. 4 )
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国内外で猛暑に見舞われ,熱中症等に関する報道が相次いでおります.
皆様体調には十分お気をつけ下さい.
本号では,国際会議の参加報告を3件,データベース学会に関連する研究会の
本号ならびにDBSJ Newsletterに対するご意見あるいは次号以降に期待する内
容についてのご意見がございましたらnews-com [at] dbsj.orgまでお寄せください.
日本データベース学会 電子広報編集委員会
(担当編集委員 天方 大地)
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目次
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1.SIGMOD/PODS 2018 参加報告
佐々木 勇和(大阪大学)
2.ICDCS2018 参加報告
前川 卓也(大阪大学)
3.ICMR2018 参加報告
劉 健全 (NECバイオメトリクス研究所/主任)
川島 英之(慶應大学)
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佐々木 勇和(大阪大学)
2018についての参加報告を致します.SIGMOD/PODSはデータベースのトップ会議です.
SIGMODはシステムやアルゴリズム等の実践的な研究が多く,PODSは計算量の解析
などの理論的な研究が多いという違いあります.SIGMOD2018の投稿数は461件で
採択数は90件(20%),PODS2018の投稿数は83件で採択数は29件(35%)でした.
どちらも日本からの論文の採択はありませんでした.日本からの投稿はPODSは2件と
SIGMOD/PODSともに年に二度の投稿機会がありますので,日本からも積極的に投稿
3カ月毎に投稿できるから積極的に投稿してほしいとのことでした.
本報告においては,SIGMOD/PODS2018のキーノートと全体の傾向について報告
します.SIGMODでは2件のキーノートがありました.1つ目はEric Brewerの
"Kubernetes and the New Cloud"です.Dockerとlinux containerに代わる新たな
googleのフレームワークKubernetesの紹介で,技術的な話というより,サービス紹介のような話
が主でした.質疑は非常に活発に行われて,実際にクラウドを用いてる企業が興味あり
そうな様子でした.2つ目はPedro Domingosの"Machine Learning for Data
Management: Problems and Solutions"で,機械学習とデータベースの融合の
話です.Deep Neural Networkは,independent and identically distributed (iid)を
ベースに学習していますが,複数のテーブルからなるデータベースからデータを取り出すと
ジョインの影響により実際はそうなっていないということでした.技術的にはTractable
markov logicを用いて,実際にRDBMSバックエンドでウェブから収集した情報から
知識ベースを抽出したという話でした.
PODSのキーノートは,Michael Benediktの"How Can Reasoners Simplify
Database Querying (And Why Haven't They Done It Yet)?"です.
computational logicの技術をクエリ最適化への応用に関する歴史の話で,
理論と実用化の隔たりに関して話しておりました.ペーパーが15ページと普通の技術
論文レベルの長さがあるので,興味のある方は読んでみてください.
ちなみに,SIGMODのキーノートはどちらも1ページです.
最後に全体の傾向ですが,機械学習の技術を用いたものが多くなってきていました.
データベースにおけるタスク(例えばクエリの最適化やエンティティマッチング)を機械
学習で行うのが主流のようです.また,データ構造の簡約化に関するトピックも
多かったです.Data sketchやsuccinctの論文が多く,SIGMOD
のベストペーパー"SuRF: Practical Range Query Filtering with Fast Succinct
Tries"もsuccinctデータ構造を用いた技術でした.
SIGMOD/PODS2019はオランダ・アムステルダムでの開催です.SIGMOD/PODS
は非常に論文のレベルも高く,デモやチュートリアルも面白い物が多いです.
興味がある方は参加されてみてはいかがでしょうか.
前川 卓也 (大阪大学)
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劉 健全 (NECバイオメトリクス研究所/主任)
川島 英之(慶應大学)
問合せ処理やトランザクション処理などのデータシステムを筆者は研究しています。
これは美しい設計原理と精妙巧緻な実装技芸から構成されるエキサイティングな分野です。
データシステムの研究スキーム構成には、その上位層にあるアプリケーションと、
下位層にあるハードウェアに関する知識が必要です。なぜならデータシステムは、
支援すべきアプリケーションを知らねば機能を決められませんし、立脚するハードウェアの
特性に合わせて設計しなければ性能と信頼性を損なうからです。
三分野の識者が集う場を求めて、2014年に筆者は鬼塚真先生(阪大)と油井誠さん
(トレジャーデータ社)にお願いし、草の根研究会 BDI (ビッグデータ基盤研究会)を
始めました。これまでに頂いたご講演は、並列データベースシステム、自動運転と大学
ベンチャー、天文学における超大規模データ処理、OSSコミュニティでの信頼獲得術、
匿名化処理の実例、トップ大学留学体験談、トップ会議に通すまでの苦労、性能
測定の実践と哲学、米国での戦い方、常識外の計算機アーキテクチャ、企業での
大規模クラスタ運営の実情、メモリの現在と未来、論文には書かれない実装の詳細、
機械学習を支える基盤、トップ会議報告などです。いつも質問が止まらず、
時間が足りないことが悩みです。これまでの開催履歴は下記の通りであり、
次回は8/7@慶大日吉キャンパスで開催です。
https://github.com/bdi-research/bdi_records
今日、データシステム分野で競争に勝ち抜くには、異分野のシステム研究者との連携
が有効です。例えば、トランザクションによるファイルシステム高性能化がSC/FASTで
報告されており、コンパイラ技術による問合せ最適化がVLDBで報告されています。
複数のシステム分野に関する研究者が一同に会して議論を行う場として、筆者が
PC副委員長を務めたxSIGがあります。xSIGではPCメンバが投稿論文を判定
会議で議論するため、フィードバックが丁寧になりますし、査読者に異分野研究者
が含まれるため、視野の広いコメントが提供されます。トップ会議への投稿準備に
xSIGをご利用頂けましたら幸いです。
データ系トップ会議採択を目指して切磋琢磨する場として、筆者もお手伝いさせて
頂いているVLDB突破会があります。この詳細は鬼塚先生の記事に譲ります。
http://dbsj.org/dbjapan/2017/msg00283.html
データシステムにご関心をお持ちの方は、BDI/xSIG/VLDB突破会にお越し頂けましたら幸いです。
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